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自動車整備士の日々の作業風景、本音等々… 整備士の日常をその視点から徒然なるままに綴る日々の記録。
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前回に引き続き、A/Tミッションの交換について、少し記事にしたいと思います。

マニュアルミッションとの大きな違いは、クラッチが無い事ですが、
それによって、クラッチ板の摩耗によるクラッチのO.Hが無くなって、
ユーザーにとっては、分解整備による出費が無い事。
それに、煩わしい操作が減る分、快適に楽に運転が出来るのは
大いなるメリットと言えますね。

ですが、その快適な機能を維持する為には、やはりメンテナンスは必要です。
 



特に、荒い運転をされる方は、オイル交換のスパンを短くする事。
一般的には、10万キロ無交換とされるミッションも多いですが、
エンジンオイルと同様、早期の交換でオイル内の異物を早めに取り除き、
オイルの粘度を適正な状態に保つ事が重要となってきます。

一見見た目には奇麗に見えるオイルですが、フィルターによって濾されない
金属粉やクラッチ粉が、ラインのいたるところに沈殿、蓄積されて、
思いもよらないトラブルを引き起こす原因となる事もあるのです。

画像は、リビルトミッションとトルクコンバーター
DCF_0115.JPG

それはさておき、早速交換作業について触れて行きましょう。

エンジンとミッションは、ボルト数本によって一体化されています。
マニュアルミッションの場合、このボルトを外すと、エンジンとミッションが
分割される事になります。
勿論、A/Tミッションもそうなのですが、大きな違いが一つあります。
それは、トルクコンバーター、通称トルコンなる物が付いている事。
これは、マニュアルミッションのフライホイールに相当する部分に、
ボルトで数箇所で固定されています。
このボルトをフライホイールに相当する、ドライブプレートのエンジン側から、
外しておく事、それが大きな違いでしょうか。

一部車種では、ミッション側に取り付けられた、セルモーターを外して、
この部分からボルトを外すタイプもあるようです。

トルコンを外すと、後は簡単にエンジンとミッションが分割されます。
この際、トルコンをミッションケース内に残すように外します。
これを怠ると、トルコンがドライブプレートから外れないまま、
ミッションがトルコンと分割されて、大量のA/Tオイルが漏れて来ます。

まぁ、漏れても問題は無いのですが、後始末が大変ですよね。(笑)
一度、その構造を知れば、何て事も無いのですが、
これだけは、経験しないと分らない事でもあります…

マニュアルミッションは、ここが結構てこずるのですが、
組付ける際も同様に、A/Tミッションの方が楽に作業が出来ます。

どのような理由でミッションの交換をするのかは分りませんが、
ここで一つやっておきたいのは、オイルクーラーのラインの清掃です。
大抵の場合、ミッションから二つのパイプ、及びホースが出ていて、
ラジエターの下部に繋がっている場合が多いと思います。
これがオイルクーラーで、冷却水によってクールダウンされています。

ところが、このライン、良く詰るのですね。
ロックアップクラッチの摩耗粉やら、金属粉やらで…
意外と、この詰りによってライン圧不足によるトラブルも考えられる。
なので、このラインは必ず清掃して、詰りの無い状態にしておきましょう。

交換するミッションが中古の場合は、各オイルシールの交換も勧めます。
特に、トルコンとミッションの勘合部のシール交換は勧めますね。
リビルトの場合は別ですが、漏れると同じ手間が掛かりますから…
5年以上経過してるのなら、この際思い切って交換される事を勧めます。
部品代は1,000円前後かと思いますよ…

中央に見えるのが、メインシャフト。その付け根にあるのがオイルシール。
DCF_0118.JPG
組み付けの際の注意点を挙げるなら、トルコンとミッションは組んだ状態で
載せるという事ですね。
中古の場合なら、組んだままだと思いますが、リビルトの場合は、
別々に部品が届くと思います。
トルコンをミッションのメインシャフトに挿入しますが、この時注意するのは
噛み合う部分が一箇所あると言う事です。
ゆっくりと挿入して、それ以上入らないところから、どちらかにゆっくりと
回します。すると、もう一段深く挿入される部分がある筈です。
そこまでしっかりと挿入しないと、エンジンに組み付けられません。

注意すべき点は以上かと思います。組み付けが終わったら、
A/Tフルードを規定のレベルまで給油します。
この時、トルコン内のフルードが空の場合は、エンジンを掛けて、直ぐに
止めます。規定まで入れたフルードが、すっかり減っている筈です。
これは、トルコン内に先にフルードが満たされる為です。
エンジンを止めたら、また同じ様に規定のレベルまで給油します。
目安としては、軽自動車なら3~5リッターこれはトルコン内のオイル量に
左右されます。普通車なら、4~8と言ったところでしょうか。
面倒でも、小刻みに給油して行くことを勧めます。
この際同時にエア抜き作業も平行して行います。Nレンジ、又はPレンジ
を起点に、各レンジに入れて、また戻します。
ゆっくりと、何度かに分けて作業します。リフトやジャッキがあれば、
実際にタイヤを空転させて、シフトアップ、ダウンを繰り返します。
この作業で、きちんと変速されてるか、確認します。
最後に、もう一度、なるべく平らな場所でオイルのレベルを調整します。

これで全ての作業が完了です。
以上、簡単に大まかな注意点を含めて説明しましたが、
実際に作業される場合は、結構大変な作業になるのですよ。
FRベースの軽自動車(バン、トラック)なら、割と楽ですが、
FF・4WDベースとなると、3倍くらいの時間が掛かるものもあります。
エンジンと一緒に降ろさないと、フレームをかわせないものもあります。
そうなると、最低でもエンジンとミッションを吊って置く設備が必要ですよね。
FF・4WDベースの場合は、ドライブシャフト、プロペラシャフトも
外す事になります…意外と手が掛かるのですよね。

 

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男性
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自動車整備士
趣味:
PC、釣り、音楽鑑賞、ドライブ
自己紹介:
整備士歴20年を超えましたが、
常に修行の日々なのですね。
これでいいと言うレベルは無くて
経験も全て過去の物になります。
失敗から学ぶ事も多く正反対
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