ミッション交換…

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




ミッションやデフといった、パワートレーンのトラブルは最近では少なくなりました。
これはあくまでも材質の不良や強度不足といった観点からなのですが…

しかし、オイル漏れやオイルの劣化が原因のトラブルは依然として多く、
そこには、メンテナンスの管理や消耗部品が深く関わっているのが現状のようです。

そんな中、オイル不足が原因のトラブルに遭遇しました。
これはマニュアルミッションなのですが、フロントドライブシャフトが入る部分、
フロントのデフにあたる部分のオイルシールからの漏れが原因のようです。

このシールの漏れ自体はよくあるトラブルで、大抵の場合はシール交換で直ります。
ただ、漏れの程度が酷く、空の状態で走行を続ければ、当然摩耗によって生じる
ガタや焼付きなどによってミッション自体がダメになってしまうこともあるのです。

今回入庫したこの車はそれを如実に表しているトラブルです…

中古車屋さんの販売車であるこの車の入庫目的は、新規の車検登録なのですが
一通り点検を終え、部品注文などを済ませて整備に取り掛かっていたのです。
勿論、ミッションのオイルシールからオイルの漏れ跡があったので、シールだけは
注文済みでした。

漏れ跡をみる限りでは、極少量の漏れが長期に渡って飛び散ったような、既に
乾いて埃が付いてる状態でした。オイルそのものが滴ってる訳でもないので、
さほどオイル量も減ってはいないだろうと思っていたのですが、オイル量の点検を
してみて初めて空の状態である事に気付いたのです。
　左はドライブシャフト全体の画像
　　　　　　　　　　
右はドライブシャフトのデフ挿入部分、摩耗してるのが分るでしょうか…


そして、ドライブシャフトの挿入部分に尋常ではないガタが有る事に気付き、
ドライブシャフトを抜いてみて摩耗がある事を確認しました。
ドライブシャフトとデフ側、それぞれに摩耗があってシャフトが首を振る位のガタです。

こうなるとシールを交換しただけではオイル漏れは止まらず、ガタの分だけ異音が
発生するのは必至と思われます…残念なのはナンバーの無い車なので試運転が
出来ない事でしょうか。逆にナンバー付きで試運転が出来る状態ならば、
その時点で異常に気付いたのかも知れません。

４WDのミッションという事もあり、工賃はかなり高額になってしまいます。
一応、エンジン脱着という事になっていますが、降ろさなくても出来ました。
標準作業時間というものがあって、車ごとに整備時間が設定されています。
この車の場合、ミッション交換がFF車で4.9時間４WDはそれに4.3時間のプラス
で、9.2時間になり、これにそれぞれの工場の１時間当たりの工賃を掛けるのです。
多分、￥5,000～￥10,000位でしょうか、工場によって違うのですが、￥5,000と
しても、￥46,000で、これにミッション代をプラスするのですから、￥100,000
コースとなってしまいますね…定期点検は転ばぬ先の杖というところでしょうか…
皆さんもどうぞお気を付け下さい…